パーム油とは?地球に住むみんなに関係ある油の話

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パーム油とは “ アブラヤシ ” という植物から採れる油のことです。

普段はあまり見聞きしないパーム油やアブラヤシ。

実は私たちの日常には欠かせないものの一つなのです。

Ben
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誰もが必ずお世話になっているものだよ

でも、パーム油のこと、ひいてはパーム油に関わる問題があることを知らない人も多くいます。

「自分には関係ない」という人はいないので、パーム油についてまずは知ってみることからスタートしてみませんか?

この記事でわかること
  • パーム油がどんな油か?
  • パーム油のメリット・デメリット
  • パーム油に関わる地球規模の問題について
  • パーム油問題でできること
この記事を書いた人

地球と肌にやさしい日焼け止め研究家:Ben(べん)

  • 海・離島・自然・ダイビングが好き
  • 毎月新しい日焼け止めを試してます。成分について勉強中!
  • オリジナル日焼け止めを作るのが夢

パーム油とは“アブラヤシ”からとれる植物油のこと

パーム油とは “ アブラヤシ ” という植物から採れる油のことです。

一般的にヤシといえばココナッツを思い浮かべる人も多いかもしれませんが、ココナッツオイル(ヤシ油)とは全く別のもの。

Ben
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同じヤシ科だけど、木の見た目も少し違うよ

こちらがパーム油の原料になる実の部分。

パームの実
Ben
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この実から2種類の油が採れ、それぞれいろんな用途で使われます

下の写真のように、実はぶどうみたいな房となっていて果房かぼうと呼ばれます。

果房かぼうの重さは20〜40kgにもなり、さらに地上から20m以上のところになるため、収穫は重労働で危険も伴います。

アブラヤシの生育は赤道付近の熱帯地域に限られていて、現在ではマレーシアインドネシアがパーム油の二大生産地になっています。

Ben
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ちなみにココナッツはこちら

ココナッツ

アブラヤシとは全然違うね!

世界で最も使われている植物油「パーム油」

パーム油は、世界一消費される植物油と言われています。

その理由は、主に3つ。

  • 生産効率が非常に高い
  • 価格が安い
  • いろんな製品に使用できる汎用さ

生産効率が非常によく、一度実ができてから20年以上も採取することができると言われています。

安定して供給できるので低価格を維持しやすく、世界中で使われてきました。

Ben
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家庭で料理用の油として使うより、企業が食品を作るときの油として多く使われています

パーム油を使った製品は多岐に渡る

実際にパーム油は、こんな商品に使われています。

食品チョコレート、アイス、パン、マーガリン、ケーキ、カップ麺、スナック菓子、揚げ油、冷凍食品、カレー等
日用品住宅用洗剤、洗濯用洗剤、シャンプー、歯磨き等
化粧品ファンデーションなどコスメ、日焼け止め、スキンケア等

あらゆる身の回りのもので使われているんだね

食品から日用品まで多岐に渡って使われているものの、原材料名には「パーム油」と記載されることはほとんどありません。

だいたいが、「植物油」「植物油脂」「ショートニング」「グリセリン」というように名前を変えて表示されています。

化粧品でパーム油由来の成分名

スキンケア用品やコスメなどの化粧品で、パーム油が使われている可能性がある成分名はこちら。

グリセリン保湿効果を高めるため、スキンケア商品、コスメ、ボディケア商品などに使われる
パーム油由来のほか、石油由来、ヤシ由来もある
ラウリン酸「ラウリン酸」「ラウリン酸◯◯◯」などの表示名
パーム油かヤシ油由来
ステアリン酸「ステアリン酸」「ステアリン酸◯◯◯」などの表示名
パーム油由来のほか、牛や豚由来、その他植物由来がある
パルミチン酸「パルミチン酸」「パルミチン酸◯◯◯」などの表示名
飽和脂肪酸の一つで、パーム油の主な成分
パーム油由来のほか、牛や豚由来、その他植物由来がある

今や化粧品成分はいろんなものから作ることができるので、表の成分がパーム油由来ではない場合もあります。

ただし、天然由来 or 植物由来成分100%と表示があるものは、パーム油由来の可能性は高いと思われます。

Ben
Ben

パーム由来なのかはっきり確認したいなら、メーカーに問い合わせると教えてくれるよ

成分名が統一されていない理由

それはパーム油がいろんな成分になることができる汎用性の高さが理由。

一言でパーム油といっても、実から採れる油と種から採れる油が違います。

なので、特に化粧品で表示するときには化学的な名前で表示されたりします。

また、成分の由来について法的に表示義務がないことも理由の一つだと思います。

例えば「植物油」とだけ表示しておけば、他の植物油からパーム油に変わっても、企業側の手間やコストは変わりなし。

Ben
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業界での慣習も大きく関係していそう

成分名が変わったり、パーム油という明確な表記がないため、パーム油は “ 見えない油 ” と言われています。

パーム油のメリット・デメリット

植物由来だからクリーンで万能なイメージのあるパーム油ですが、メリットがあればもちろんデメリットや問題点もあります。

主なメリット・デメリットはこちら。

メリット
デメリット
  • 生産効率が非常に良く、大量生産が可能
  • 汎用性が高く、いろんなものの原料となる
  • 価格が安い
  • とりすぎによる健康リスク増
  • 輸送時に酸化防止剤が大量に使われる
  • パーム油による地球規模での環境問題
Ben
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それぞれ詳しく解説していきます

【メリット】効率よく大量生産が可能

パーム油は他の植物油と比べて、少ない土地でたくさんの量を採ることができます

下の画像を見ると、菜種油やひまわり油、大豆油と比べると、パーム油が圧倒的に多く採れることがわかります。

引用:WWFジャパン「パーム油の問題とは?私たちの暮らしと熱帯林の破壊をつなぐもの」

大量生産できるということは、価格も安くできるということ。

また、一度苗を植えると20年以上も収穫し続けることが可能といわれています。

他の植物と違って、とても効率が良いのがわかります。

たくさん作れるから安い。

そしてパーム油の性質上、いろんなものに使えるということで、世界でいちばん使われる植物油となっているのですね。

Ben
Ben

企業から見てメリットが多い油だよね

【デメリット】健康リスクや環境破壊が問題

とりすぎによる健康リスク増

パーム油の約半分に飽和脂肪酸が含まれています。

その飽和脂肪酸によって、健康リクスが増加するおそれがあります。

飽和脂肪酸とは、肉類、乳製品、お菓子に含まれる脂質のひとつ

飽和脂肪酸をとりすぎることで肥満になりやすく、それにともなって病気にもなりやすくなってしまいます。

パーム油は植物性の油なので健康的なイメージを持つかもしれませんが、何事もとり過ぎは良くないということですね。

輸送時に酸化防止剤が大量に使われる

パーム油を輸送するときに、酸化防止剤BHA(ブチルヒドロキシアニソール)が使用されます。

Ben
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食品添加物のひとつです

BHAに発がん性があると言われていて、パーム油の安全性が疑問視されています。

パーム油の生産地は、マレーシアやインドネシア。

海を越えて輸送するにはどうしても時間がかかります。

輸送している間にパーム油が酸化してしまわないよう、酸化防止剤が大量に使われるのです。

BHAの発がん性については、ねずみなどげっ歯類に限るという研究結果もありますが疑問を持つ声もあります。

パーム油による地球規模での問題

パーム油の生産で地球規模の環境問題があります。

それが、

  • 熱帯林のや泥炭地の破壊
  • 火災とそれによる温室効果ガスの発生
  • 農薬による河川の汚染
  • 野生動物の減少、絶滅危機
  • 人権問題や汚職、健康被害

詳しくは次の項目でご紹介します。

パーム油問題が深刻になっている

世界中で使われているパーム油ですが、パーム油による問題が深刻化しています。

パーム油の生産地・マレーシアやインドネシアだけの問題ではなく、主にパーム油を消費している先進国の私たちにとっても責任がある問題。

Ben
Ben

でもパーム油の問題を知らない人も多いよ

また今後、地球規模で人口が増加すると言われていることから、パーム油の消費もさらに増加していくと予測。

パーム油問題は、地球に住む私たちが知っておくべき問題のひとつだと思います。

詳しく解説していきます。

熱帯林や泥炭地の破壊

パーム油のもととなるアブラヤシ農園をつくるためには、熱帯林を破壊する必要があります。

かつてマレーシアやインドネシアは熱帯林が豊かな国でしたが、熱帯林の森は驚異的な早さで減少。

引用:WWFジャパン「パーム油の問題とは?私たちの暮らしと熱帯林の破壊をつなぐもの」

パーム油の生産が盛んなスマトラ島では、30年前と比べると森が半分以下に減ってしまったのがわかります。

この写真はアブラヤシ農園を空から撮ったもの。

アブラヤシプランテーション

緑豊かな土地に見えるけど…

Ben
Ben

アブラヤシしかない土地は、本来の自然からは大きくかけ離れてしまっているよ

また、泥炭地でいたんちの破壊も問題となっています。

泥炭地でいたんちとは、地球表面の3%しかないが、世界中の森林すべてが貯蔵する2倍もの炭素を貯蔵している。泥炭地でいたんちが保たれていないと、大量の二酸化炭素など温室効果ガスが放出され、気候変動の一因となる。また、地盤沈下や塩水の流入などの問題も起こる。

熱帯林を破壊するだけでは足りず、泥炭地でいたんちまでも破壊し、アブラヤシ農園をつくっているのが現状です。

火災と温室効果ガスの大量発生

アブラヤシ農園のために野焼きを行う

アブラヤシ農園をつくるために、土地を整地するのに火をつける方法(野焼き)があります。

マレーシアやインドネシアでは野焼きが禁止されていますが、野焼きが原因による森林や泥炭地でいたんちでの火災が多発。

Ben
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近隣の国まで煙の被害がでるほど

特に乾燥させた泥炭地でいたんちは燃えやすく、ただでさえ破壊した泥炭地から二酸化炭素が放出されているのに、さらに燃やすことで莫大な量の二酸化炭素が排出されてしまうのです。

2015年インドネシアの火災

煙害(ヘイズ)は毎年のように発生しているのですが、最も被害が大きかったのが、2015年インドネシアです。

インドネシアの森林・泥炭地でいたんち火災によって排出された温室効果ガスは17.5億トンといわれています。

火災になりやすい時期は乾季(5月〜10月)の時期。

日本の年間の二酸化炭素排出量が14.08億トンといわれているので、私たちがイメージする以上の火災だったことがわかります。

煙害によって病気になる人も増加したよ

野生動物の減少・絶滅危機

オランウータンの親子

森林破壊が起こると当然、そこに住む野生動物の住処がなくなります。

10年前に比べるとオランウータンは80%も減ってしまったと言われるほど。

森を破壊してアブラヤシ農園をつくれば、動物たちの住処や食べるものがなくなり、命も落としてしまいます。

また、アブラヤシ農園に迷い込んだ動物は害獣として駆除対象に…

Ben
Ben

象が農園を荒らしてしまったり、人を死なせてしまう事件も起こっています

なんの罪もない動物が住む場所を奪われてしまい、絶滅危機に追い込まれている。

とても悲しいことが起こっています。

劣悪な労働環境や汚職の温床

企業の大規模アブラヤシ農園では、児童労働や低賃金で働く強制労働が問題となっています。

アブラヤシ栽培から収穫まではとても重労働。

小さな子どもが重いアブラヤシの果房かぼうを運んでいたり、危険な労働を強いられ、学校に行くこともできません

また、政府が正しく機能していないことがあり、汚職が蔓延していることも指摘されています。

汚職によって無許可の農園開発や地元住民の住まいが奪われたり、禁止である野焼きが行われたり、問題が引き起こされています。

Ben
Ben

汚職がパーム油問題を加速させているといってもいいと思います

パーム油問題のために私たちができること

パーム油をまったく使わなければ良いのかというと、そうではありません。

その理由は、

  • パーム油の代替油はさらなる森林破壊につながるため
  • アブラヤシ小規模農家の生活を奪うことになるため

パーム油ほど生産効率が良い植物油はありません。

他の油で代わりをするには、たくさんの農地が必要になります。

パーム油1トン生産するためには0.26ha必要ですが、大豆油1トン生産するには2haも必要になると言われています。

引用:WWFジャパン「パーム油の問題とは?私たちの暮らしと熱帯林の破壊をつなぐもの」

また、アブラヤシ農園のほとんどは家族で小規模農園を営み、経済的に苦しい思いをしている家族も少なくありません。

今パーム油を使わなくなってしまうと、アブラヤシ農家はさらに経済的に貧しい思いをすることになるでしょう。

Ben
Ben

パーム油が生活のすべてという暮らしをしている人々が多くいます

RSPO認証の商品を選ぼう

私たちができることのひとつに、RSPO認証取得済みの商品を選ぶことがあります。

RSPOマーク
RSPO認証マーク
Ben
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このマークが目印!

RSPOとは、パーム油の持続可能な生産と利用を目指す組織で、認証されたパーム油やその商品にはRSPO認証マークがつきます。

RSPO認証を取得している商品は、パッケージの裏面などにマークが記載されています。

液体の洗剤や、食品のパッケージでRSPO認証マークがあるものは、なるべく選んでいきたいですね。

Ben
Ben

日清食品では2017年よりRSPOに加盟し、カップヌードルをはじめとした商品でRSPO認証パーム油を使っています

化粧品の場合は、COSMOS認証の商品を選ぶことでRSPO認証パーム油を選ぶことができるので、COSMOS認証マークを目印に選んでみましょう。

パーム油フリー商品を選ぼう

パーム油をまったく使っていない商品を選ぶということも、私たちにできることのひとつ。

Ben
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日常で使うパーム油を少し減らすことで、無意味な農園開発を減らすアクション!

全商品パームオイルフリーのスキンケアブランド・ラヴィステラでは、日焼け止めもパーム油を使っていません。

引用:ラヴィステラ公式
Ben
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ラヴィステラでは独自にパームオイルフリーの表記をつけているよ

また、認証やパームオイルフリーの表記がない化粧品の場合、ひとつひとつ成分名を調べる方法もありますが、それも結構大変な作業。

さらに成分の由来にいくつか候補がある場合、自分で判断することはほぼ不可能です。

そんなときは、販売元やメーカーにお問い合わせするのがおすすめ!すぐに教えてくれますよ。

Ben
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ホームページのお問い合わせからできます

【まとめ】パーム油問題を知ることから

パーム油とは “ アブラヤシ ” から採れる油のことで、実は私たちの生活を支えている油といっても過言ではありません。

他の植物油と比べて、圧倒的に収穫効率が良く、長く収穫できるのがパーム油。

そう聞くと、これからの時代に合ったサスティナブルな油では?と思う人もいるかもしれません。

もちろんメリットがたくさんあるのですが、デメリットやすでに問題となっていることがあり、早急な解決が求められています。

メリット
デメリット
  • 生産効率が非常に良く、大量生産が可能
  • 汎用性が高く、いろんなものの原料となる
  • 価格が安い
  • とりすぎによる健康リスク増
  • 輸送時に酸化防止剤が大量に使われる
  • パーム油による地球規模での環境問題
パーム油による環境破壊や人権問題
  • 熱帯林のや泥炭地の破壊
  • 火災とそれによる温室効果ガスの発生
  • 農薬による河川の汚染
  • 野生動物の減少、絶滅危機
  • 人権問題や汚職、健康被害

パーム油そのものが問題というよりも、どう生産していくか?どう使っていくのか?ということがこれから私たちが考えるべきことです。

私たち一人一人ができることは、

  • パーム油問題を知ること
  • RSPO認証の商品を選ぶ、使う
  • パーム油フリー商品を選ぶ、使う

ということ。

ドラッグストアやスーパーでお買い物するときは、ぜひ商品パッケージの裏面をチェックしてみてください。

RSPO認証取得済みの商品であれば、ぜひできる範囲で日常に取り入れてみてくださいね。

この記事を書いた人

海なし県に住む海大好き!Benです。海・離島・自然・ダイビングを愛しています。でも、基本はインドアでお家大好き、漫画大好き。このブログでは、主に日焼け止めについての情報を発信しています。日焼け止め選びの参考になれば幸いです。

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